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ひとりでは生きられないのも芸のうち

ひとりでは生きられないのも芸のうち
内田 樹
おすすめ度 ★★★★★


★★★★★ 2008-03-04 5人に1人くらいがまっとうな大人になって欲しい
ウチダ先生のおっしゃることはとても分かりやすい。少子化対策は国公立の学校の
授業料を無料にすること。親の負担が激減するばかりでなく、子供たちは出資者で
ある親の言うことを聞かなくても「好きなことをやる」ことができる。日本の学術
は一気に活性化していいことずくめだとか。

また、家族解体は平和のコストだともおっしゃっています。「学びや労働や社会生
活から逃走することのできる人間が百万単位で存在できるのは、日本が豊かで安全
で福祉が充実しているからである」ただ、そういう人たちが路上で餓死しないため
には一定数以上の市民が額に汗して労働することが必要・・・なのです。

社会的なふるまい方の根本原則はどんな場合も「世の中が『自分みたいな人間』ば
かりになったときにでも愉快に生きていけるような生き方をする」これに尽きます。

まえがきで述べられているとおり、ブログ日記を一冊に編集したものですが、ブロ
グというパーソナル・メディアを「クール」なメディアと書いています。マスメデ
ィアはどうしても読者を煽る「ホット」なメディアなのですね。「まあ、これくら
いのことは常識の許容範囲でしょう」と本当のことを言えない、と。また、ウチダ
先生がメディアからの寄稿依頼を断り、ブログを書くのも「使用語彙の制限」がな
いからだそうです。メディアに関する辛口の批判も、とても的を得たものだと思い
ます。

★★★★★ 2008-02-29 知的で面白いエッセイである。
しかしながら、記載されている内容は印象に基づく著者の「私見」なので(エッセイだから当然だが‥)、その点は適切な距離感を保ちながら読む事を薦める。もっともそうしたことは著者自身が本書のなかで記載していることなので、賢明な読者は問題なく読みすすめられるだろう。

★★★★☆ 2008-02-24 難解な問題の本質を一突きで貫くインテリオヤジの鋭い呟き
文学部教授である内田樹氏のブログから、最近の世相を反映する問題を選んで加筆修正し収載したエッセイ集。読者に語りかける調子で記載されており、難解な文章に時間をとられなければ数時間で読破可能。広い読者層が対象と思われる。

文学部教授らしい文章と編集者の構成力のよさで、気軽に読み勧められる書である。前書きを読んでしまうと買わずにはいられなくなる文章力であり、居酒屋などで、学生が教授を囲んで愚痴を聞いているかのような風景が目に浮かぶ。所々、何を言っているか不明な点があるが、著者が知性の一端を見せびらかしたような、わかりづらい文章は読み飛ばしても理解可能である。本書の最大の特徴は著者が述べているように、他の書では曖昧にされてきた理由や根拠を明確に述べている点である。時事ネタの主観的な評論であるため、きちんとしたデータに基づくものではないが、話に一貫性があって妙に説得力ある。著者の立場が最も明確に現れている点は、労働にたいする考え方であって、現代社会の病理を一刀両断している。もちろん、個人的に全ての意見に賛同するわけではないが、問題点を多くの視野から検証し、著者なりの意見を明確に述べている点は非常に好感が持てる。

ちょっとずるいインテリオヤジの世相論であり、誰もが曖昧にして明言しなかった本質を一突きにした作品。親が子供に屁理屈を言われて困るような問題にどのように対処すべきかや、社会生活をする上での心構えの参考にするにはうってつけの書と思う。値段分の価値は十分で、星4つの評価。

★★★★★ 2008-02-16 TVや新聞では語られない知恵と洞察が詰まっている
 最近の事象や出来事について、テレビや新聞などによる紋切型の取り上げ方とは一味も二味も異なる視点から論じている。しかし、その視点は、決して「斬新」とか「独特」というものではなく、その根底には「他者と共存することによって自分を生かす」という社会的存在としての人間の生き方の普遍的ルールが貫かれている。著者の主張が新鮮に聞こえるのは、私たちがしばらくこのルールを忘れて、自己中心的に生活してきたからに違いない。「人間は自分の欲するものを他人から与えられることでしか手に入れることができない」、「子どものときに金/セックスに触れてしまった子どもはおそらく成熟を妨げられる」、「『未来がどうなるかわからない』」という原事実のうちに人間の人間性を基礎付けるすべてのものが棲まっている」など示唆に富む指摘が多い。文体も読みやすくて快い。

★★★★☆ 2008-02-10 面白いですよ。
著者の日々の覚書(形式上ブログの体裁だけど、ブログの定義からは外れるかな)の集成本。
日々著者のサイトを覗いてる人にとっては、特段新しいことは書いてない訳だけども、まとめ
て読み直すには良い機会かね。学者さんの割には、ぶれる方なので、寧ろそこが堪らなく良い
(笑)。著者の言うとおり、理論原理主義的な人間は理論を過剰適用しがちだが、著者はその通
度適切な理論で解析を試みるから、結構ぶれるのだと思う。だから、そのぶれが心地良いのか
な。

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