潜水服は蝶の夢を見る
潜水服は蝶の夢を見るジャン=ドミニック ボービー
おすすめ度 ★★★★★
★★★★★ 2008-01-24 すばらしい生の賛歌
最も人生の中で充実していて、愛しているものに囲まれていて、そして社会的にも
成功していた彼はいつもの生活の中で、ある日突然の身体の不幸におそわれる。
次に目覚めたときには自分が「潜水服」の中に閉じ込められていた。
自分の身体や運命を彼はきっと呪ったことだと思います。
最初はいずれ回復するだろうと信じ、あるときそれは絶対にやってこないことだと
気付かされます。
でも、この本には恨めしさや生きることの絶望は全く出てきません。
彼は、閉じ込められた潜水服の中でも、人生を愛し、家族を愛し、身体が全く
動かなくなった今でも大切な思い出や五感で感じていた記憶でいろいろな旅を
していきます。
また、病院の中の出来事や家族や友人を愛を込めて表現しています。
彼が潜水服から抜け出る術は蝶と例えられているその言葉にありました。
人生を愛すること。
愛している人たちを愛して大切にしていくこと。
どんなことになっても生きる喜びを感じること。
身体が動かないことで、彼はすばらしい精神世界に生きていくことを
手にいれました。
すばらしい。
あらためて生きる喜びについて感じさせてもらえる。そんな感じです。
★★★★★ 2007-05-06 閉じ込め
71歳という年齢としては、極めて元気だった親父が、脳梗塞で突然倒れた。一緒に八ヶ岳に登った、わずか数ヶ月後のことでした。
「脳幹」の「橋(きょう)」の神経細胞が、脳梗塞により死んだ。生命の危機を脱した親父の状態が、この本の著者(?)と同じ。
Locked in syndrome。「閉じ込め症候群」だそうです。
知覚と思考は正常なのに、体は全く動きません。
医師の説明で、理屈では理解していた状況を、この本がリアルに理解させてくれました。
眼球と瞼しか動かせない人が、この本を書いたプロセスが、心の深い所にズシンと来ます。親父のために、同じ事をしてあげなければ、と思う。
★★★★★ 2003-10-28 美しい言の葉
蝶は彼の心、想像力。彼のベッドの上の新しい人生、新しい一日、過去、思索、退屈な病院を美しく物語る言葉の数々。潜水服に例えられた、重く硬く痛く冷たい体の状態とは対照的な、軽やかでエレガントな言の葉。それを生み出す力強さ。それらがページをめくる毎に舞い上がります。
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