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復讐するは我にあり

復讐するは我にあり
緒方拳
おすすめ度 ★★★★★


★★★★★ 2007-01-16 人間の業の深さ、心の闇を描いた実話犯罪映画の傑作。
今村昌平はきわめてユニークで、ある意味日本的な映画監督だと思う。映画というのは人間を描くことが基本的なテーマだと思うが、この監督ほど人間の本質、日本人の業の深さを執拗に描き続けた監督はそんなにいないのではなかろうか。濃密で、見ている方が息苦しくなり、大抵の作品は見るのにエネルギーを要する。この映画は実際に起きた事件をベースに作られているが、日本の犯罪史上でも特異な事件だった。5件の殺人事件はいずれも衝動的な犯行のように思えるが、最後に自分を指名手配中の犯人と気づいていながら、匿ってくれた「味方」の女までも、その母親とともに殺してしまう。しかも、その女は自分の子を身ごもっていた。この映画を見てもその動機はわからない。犯人の持っていた「心の闇」の大きさを感じる。この映画ではその心の闇を闇のまま観客に提示する。かすかに闇の向こうに見えるのは、父親との確執だ。父親は五島列島出身のキリシタンで、戦後、漁業をやめた保証金で内地で温泉旅館を経営していた。この父親との間になにがあったのか、信仰となにか関係があるのか。なんど見ても重く、ズシンとくる映画だ。人間というものを濃密に描いたこの映画を支えるキャスティングが素晴らしい。犯人役を演ずる緒形拳はもちろんのこと、殺される愛人役の小川真由美、父親役の三国連太郎、妻役の倍賞美津子、そして、忘れてはならない愛人の母親役を演じた清川虹子、いずれも強い存在感とリアリティに溢れた演技で見る者を圧倒し、画面に引きずり込まれた。何度見ても手に汗をかくような、考えさせられる実話犯罪映画の傑作だ。

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